著者:森 博嗣
S&Mシリーズの第2巻。
犀川先生の旧友の喜多先生が働いている極地研に、実験の見学に行った犀川先生ともえちゃん。宇宙服のような防寒スーツが必要になるほど、低い温度で実験を行う低温度実験室。そこが密室殺人の舞台に。数年前に死亡したと思われる腐乱死体も発見され、謎はますます深まります。どうやって殺人が行われたかはすっきり解明されますが、それを行った犯人の心情を想像すると、ぞっとする、ちょっと後味が悪い事件です。
以下、好きなセリフたち
「ガリレオは…、四百年くらいまえかな?」「惑星や衛星の運動を計算して、望遠鏡を作って観測しているね。でも、彼は自分の使っていた机が、どれくらい歪んでいたか知らなかった。彼が書き残している内部応力分布は基本的な認識からして大間違いだったんだよ。外力を受けると、どんな物質も変形して力を伝えるけど、これが当時はまだ認識されていなかった。ガリレオの間違いが正されたのは二百年もあとだ。変形が正確に計算できるようになったのはほんの最近だよ。いや、今でも本当に正確とはいえない。身近な現象でも、わからないことは無限にあるんだ」
犀川先生
「学問の虚しさを知ることが、学問の第一歩です。テストで満点をとったとき、初めてわかる虚しさです。それが学問の始まりなんですよ」
犀川先生